
2025年10月27日、日経平均は史上初の5万円台に達しました。数年前から比べても、破格の勢いで上昇しています。
しかし、世間ではあまり好景気だという話を聞きません。「物価が上がって生活が苦しい」「年金暮らしなので、この物価高の中でいつまで貯金がもつか…」など、生活や将来に関する不安の声もネットにあふれています。
ここで気になってくるのが「株高不況」というキーワード。これは、企業の業績の好調や株高が、家計の豊かさに反映されず、国民の生活は苦しいままという状況のこと。
果たして現在は、好景気なのでしょうか、それとも不景気なのでしょうか。
今回は、「株高不況」と呼ばれる日本の経済状況についてお話ししていきます。
失われた30年で企業の体質はどう変わったか!?
日本全体が好景気を享受していた昭和バブル期と今の株高の違い
株高というと、何を思い浮かべますか?
高市政権でのサナエノミクス!? それとも安倍政権でのアベノミクス!?
かつてのバブル期を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。バブル期の株価の最高値は1989年の38000円台であり、現在の5万円はそれを大きく上回ります。
しかし、バブル期には日本全体が好景気を感じていた状態だったのに対して、現在は好景気といった空気は感じられません。
むしろ、「食費をはじめとした物価が上がって生活が苦しくなった」と感じている人の方が多いのではないでしょうか。
89年の株高と現在の株高、その違いはどこにあるのでしょうか。
まず大きな違いは、株高を支えている投資家の種類です。
バブル期の東京株式市場の投資家は約9割が日本人であり、外国人投資家は約1割にすぎませんでした。
しかし現在は、外国人投資家が7割、国内投資家は3割にすぎません。
現在、日本株の株高により膨らんでいる金融資産は、日本国内よりも海外のものが主なのです。

昭和バブルは成金社長、今の株高は締まりや社長
とはいえ、日本株が上がっているのは日本の企業の経営が好調な証拠。それにより日本国民の生活にも豊かさが反映するのではないかと思われるかもしれません。
こちらもバブル期といまでは大きく変わっています。
バブル期には企業自体が景気上昇を信じている傾向がありました。利益の多くを事業の拡大や人件費にも充て、広告的な意味も込めて消費者への還元も多大に行っていました。イメージとしては、増え続けるお金がポケットからボロボロと溢れ出して、日本社会全体にばら撒いているような状態です。
つまり、儲かったお金を使いまくる成金社長のイメージです。
しかし、その後の長いデフレ期である「失われた30年」を経て、企業は利益の多くを内部保留にまわすようになりました。また、経営自体も費用対効果や効率性を追求するスタイルに変わりました。
現在生き残っている大企業は、資本効率、資本コストといったものを高レベルで意識する企業ばかりです。ガチガチの締まりや社長をイメージしていただくとわかりやすいでしょう。
企業が儲かっているのに、国民は貧しいままというのは、時代による企業の体質の変化も大きく関係しています。

「株高による好景気」なのに「生活が苦しい」の理由とは!?
インフレが「生活が苦しい」の大きな理由
企業の利益の上昇と個人の家計が比例しない要因の大きなものに「インフレ」もあります。インフレとは継続的に物価が上昇すること。つまり、最近よく聞く「物価高」というキーワードのこと。
現在、日本政府と日本銀行は、インフレ率「2%」が安定的に持続する状態を目指しており、実際に年2%以上のインフレ率が継続しており、デフレ期を終えてインフレ期に入っているとみなされています。
ところが、インフレに追いつくだけの賃金上昇につながっていない現状があります。つまり、企業が儲かっているのに、給料に反映されていないのです。
収入が上昇しないのに、食費や家賃や光熱費などが上がっていけば、当然、生活は苦しくなります。
バブル期はかなりのインフレだったのではないかと思われるかもしれませんが、バブル期に上昇していたのは、不動産などの資産価格が中心であり、生活に必要な一般的な物価はさほど変わりませんでした。しかも、景気がボーナスや月給にも反映されていましたので、市民の生活が豊かになったという印象が生じて当然です。
国民間の経済格差も好景気を実感しにくい理由の1つ
国民間の経済格差が広がり、固定化される傾向にあるのも株高不況の要因のひとつです。
株価の上昇の恩恵を受けるのは、当然ですが基本的には株を持っている人です。生活余剰資金がないと当然、株を所有することはできません。おのずと株を保有するのは高所得者となり、高所得者が株高の恩恵を受けているという構図になります。
つまり、この約3割は株高の恩恵を受けられるけれど、そうではない人たちは恩恵を受けられないままということ。
なかなか国民が実感を得にくい「株高による好景気」ですが、お金というものを意識し直すには、いい機会だと言えるかもしれません。
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