『遺産分割協議の流れ』【シリーズ相続税③】

相続税シリーズ「相続税について」

第3回目は、「遺産分割協議」です。

「遺産分割協議」というと、何だか大層なことをしないとならないように感じてしまいますが、多くの場合はいわば家族会議です。

被相続人みんなで話し合い、誰が、何を、どれだけ相続するのかを決め、書面に落とし込んでいきます。

その流れやルールについて説明していきます。

遺産分割協議の流れとルール

誰かが亡くなり相続が開始されると、「誰が」「何を」「どれだけ相続するのか」といった遺産の分配について決めていかなければなりません。

この分配を決めるのが「遺産分割協議」です。

遺言書の有無の確認

遺言書がないと思い込んでいて確認せずに協議を行い、後から遺言書が出てきてしまうと、遺言書の内容通りに分割協議をやりなおす必要が生じてしまいます。

遺言書の有無の確認は、公正証書遺言は全国の公証役場で、自筆証書遺言は法務局で照会することができます。

相続人の確定

遺言書がある場合には遺言内容に準じて相続人が決まります。

遺言書がない場合には、法定相続人が相続することになります。

この際、まずは法定相続人を確定します。

代襲相続が含まれる場合などには、疎遠となっている血族の安否を確認して連絡を取る必要が生じてきます。

遺産分割協議は、相続人全員の参加と合意が基本ですので、相続をする権利を持つ人間が行方不明となっている場合は、特別な対応策が必要となります。

行方不明者がすでに失踪宣告されており、法律上死亡したものとみなされている場合は相続の権利はないものとされます。

相続人が行方不明の場合はどうするの!?

まずは行方不明者を探す手続きが必要となります。行方不明者の本籍地役所にて戸籍の附票を取得し、現在の住所を調査し、手紙を送るなど連絡を試みます。

それでも連絡が取れない場合は、行方不明者抜きでの協議ができるよう手続きを開始します。

生死不明となり7年以上経過している場合は、家庭裁判所に失踪宣告の申し立てを行います。申立てが認められると、死亡したものとして相続の権利から除外することができます。

生死不明期間が7年未満の場合は、家庭裁判所に「不在者財産管理人」を選任してもらい、行方不明者の代理人として協議に参加してもらうことになります。いずれにしても大変な作業となりますので、プロの力が必要となってくるケースも少なくありません。

財産調査

相続を受けるのが誰かを確定するのと同時に、相続される財産が、「何が」「どれだけ」あるのかの確認も進めます。

通常、遺産分割の対象にならない財産も、関係者の合意が得られらば遺産分割に組み入れることも可能です。

また、不動産や車などの財産については、金銭的な評価額を算定します。

不動産に関しては算定方法がいくつかあり、評定額が変わる場合もあるため、相続人の同意のもとに算定することが大切です。

ちなみに、故人が法人のオーナーであるといった場合には、株式を相続する形で相続します。

こういった場合には、一般的な相続とは大きく異なる手順や作業が発生するため、また別の機会にご説明します。

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生前贈与を確認しよう!!

子どもに生前贈与がされていた場合、兄弟姉妹間の間で不公平感が生まれ、遺産分割協議の際に揉めるケースが多くあります。方法、額、時期等によっては、特別受益として認められない場合もあります。財産調査の段階で過去に「いつ」「どれだけ」「何のために」生前贈与があったか、また、贈与の特例を受けたかどうかを確認しておくことも、トラブル回避のために必要となります。

財産目録作成

相続される財産の内容を一覧にしたものが「財産目録」です。

必ずしも財産目録を作らなくてはならないという法的義務はありませんが、スムーズに分割協議を行うためには必須のものとなります。

また調停などが生じた場合には、家庭裁判所への提出が必要となります。

財産目録には、土地、建物、預貯金、有価証券、車などのプラスの財産のほか、ローンや未払いの費用などのマイナスの財産も記します。

その他、遺言書がある場合には添付します。

相続人全員が参加して遺産分割協議を行う

法定相続人、遺言書に指名された人など、相続を受ける権利のある人間全員が参加することが基本となります。

一人でも欠けた場合は、協議は無効となります。

全員で財産と遺言書がある場合は遺言書を確認して、相続の分配を話し合います。

当事者全員の合意を得て、遺産分割協議が有効となります。

ただし、注意が必要な点がいくつかあります。それは下記のとおり。

●コチラに注意→「協議合意の有効な意思表示」

合意の意思表示が問題となる場合もあります。

例えば、認知症によって法的判断をする能力がない場合などです。

そのまま合意を得たものとして協議を進めると、当然ですが協議無効となります。

法的判断の能力がない相続人には、家庭裁判所で選任した成年後見人を代理として立てる必要があります。

●コチラに注意→「寄与分」

法的な財産分与の配分の他に、例えば故人の生前に介護の多くを受け持っていたなどの貢献が「寄与分」として考慮される場合も少なくありません。

寄与分についても遺産分割協議時に話し合われます。

話し合いが拗れてしまうと、家庭裁判所に寄与分を算定してもらうということになります。

●コチラに注意→「遺言書」と「遺留分」

遺言書に遺産分割についての記述があれば、遺言書に沿うことが基本となります。

しかし、配偶者、子、直系尊属においては、遺言書の内容に不満がある場合、定められた最低限の相続分(遺留分)を請求することができます。

遺留分については細かい規定があり、別の回に改めて説明いたします。

遺産分割協議書の作成

遺産の分配に相続人全員の合意を得られたら、合意内容をまとめた遺産分割協議書を作成します。

合意の印として、相続者全員が署名し、実印を捺印します。

遺産分配手続き

遺産分割協議書の内容に基づいて、不動産、預貯金といった財産の名義変更を行います。

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